邇邇芸命（ににぎのみこと）
祖父は　高産巣日神（たかむすびのかみ）
祖母は　天照大神（あもてらすおおみかみ）

父は　天忍穂耳命（あめのおしほみみのみこと）
母は　万幡豊秋津師比売命（よろずはたとよあきつしひめのみこ　　　　　　　　　　　　　　と）

邇邇芸命（ににぎのみこと）は父に代わって大国主命（おおくにぬしのみこと）から譲り受けた、葦原中国（あしはらのなかつくに）を治めるように命（めい）じられたのです。

その際、天照大神（あまてらおおみかみ）は三種神器（さんしゅのじんぎ）の勾玉（まがたま）・鏡・草薙剣（くさなぎのつるぎ）をさずけ、
これが我魂（わがたましい）と思って仕え祭れと教えたのです。

供には、蘇我馬子（そがのうまこ）と聖徳太子（しょうとくたいし）の連合軍に敗れた、
物部守屋（もののべのもりや）先祖の邇邇芸命（ににぎのみこと）と、
大化の改新で中大兄皇子（なかのおおえのおうじ）と供に蘇我入鹿（そがのいるか）殺した中臣鎌足（なかとみのかまたり）平安時代後期まで続いた藤原一族の先祖である天児屋命（あめのこやねのみこと）を従えて、
九州の高千穂の峰に降臨（こうりん）したのです。

邇邇芸命（ににぎのみこと）は笠沙も岬で大山津見命（おおやまつみのみこと）娘の、
木花之佐久夜昆売（このはなのさくやひめ）と姉の、
石長比売（いわながひめ）と出会い。

邇邇芸命（ににぎのみこと）は美しい妹の木花之佐久夜昆売（このはなのさくやひめ）に一目ぼれして、

早速、昆売（ひめ）の父に妻にしたいと使いを向かわせたら、
大山津見命はたいへん悦び、たくさんの結納品（ゆいのうひん）と一緒に姉の石長比売（いわながひめ）を添えて差し上げたのですが。

姉の石長比売（いわながひめ）は余りにも醜（みにく）い顔をしていたので大山津見命に返されたのです。

そうして、木花之佐久夜昆売（このはなのさくやひめ）は身ごもると、
邇邇芸命（ににぎのみこと）は一夜の契（ちぎ）りで妊むはずがない疑い。

そこで昆売（ひめ）は証（あかし）たてるために産殿（うぶどの）を造りその中で内側から火をつけて子供を産んだのです。

最初に生まれたのが、火照命（ほでりのみこと）次の御子（みこ）は火須勢理命（ほすせりのみこと）その次の御子は火遠理命（ほおりのみこと）です。

成長した、火遠理命・山佐知昆古（やまさちひこ）は兄の火照命・海佐知昆古（うみさちひこ）に自分が野山の狩りに使っている弓矢と兄が海辺で釣りをしている釣具を交換して使わせてくれるように頼み。

１日だけ山佐知昆古（やまさちひこ）は釣具を借りて魚釣りをしたのですが、
魚が１匹も釣れずおまけに釣ばりを魚にとられてしまい。

兄の海佐知昆古（うみさちひこ）謝（あやま）っても許して貰えず
浜辺で困っていると。

塩椎神（しおつちのかみ）が通りがかり訳を話すと、
塩椎神が教えてくれたように。

竹の小船で海神の綿津見神（わたつみのかみ）の宮殿に向かい、
訳を話すように教えられて。

海の宮殿に着くと、
歓迎を受けて山佐知昆古（やまさちひこ）は海神の宮殿で暮らしている間に、
海神の娘、豊玉昆売（とよたまひめ）と結婚したのです。

そうして、海神の力添えで鯛の喉（のど）に刺さっていた鉤（はり）を探しだすことができ、
海神から塩盈珠（しおみつたま）と塩乾珠（しおひるたま）を貰って。

鰐（わに）の頸（くび）乗って故郷に帰り、
兄に釣鉤（つりばり）を返して珠の威力（いりょく）で意地悪な兄を懲らしめたところ。

兄は心から謝り、これからは汝（なんじ）守護役（しゅごやく）を勤めると約束して、
火照命（ほでりみこと）の子孫は代々朝廷に仕えている隼人となったのです。

妊娠している豊玉昆売（とよたまひめ）は夫の火遠理命（ほおりのみこと）慕って来て出産するのですが。

その時、昆売（ひめ）夫にけっしてお産の現場は見ないようにと懇願（こんがん）したので。

不思議に思った火遠理命（ほおりのみこと）は、
ついコッソリと産殿（うぶどの）の中を覗（のぞ）いて驚いたのです。

昆売（ひめ）大きな鰐（わに）の姿に変わっていたのです、
そうして昆売（ひめ）は夫に自分の姿を覗かれたと知って御子（みこ）を産み残して海の宮殿に帰っていったのです。

その御子は、
天津日高日子波限建鵜葺草葺不合命（あまつひだかひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと）で、
神武（じんむ）天皇の父神です。